世界騎手リーグ

 

世界騎手リーグ(World Jockey League)とは

2026年に始動予定の世界騎手リーグ(仮称:グローバル競馬リーグ = Global Racing League, GRL)は、世界のトップ騎手12名が年間シリーズ戦を戦う新構想です。ゴドルフィン元CEOのジョン・ファーガソン氏とエンテイン社元CFOのラクラン・フィット氏が共同発起人となっており、騎手自身がフランチャイズ制のチームオーナー(株主)兼チーム代表を務める斬新なリーグとなる予定です。年間最大10開催日(1開催6レース)のイベントを世界各地の主要競馬場で行い、総額1,500万ドル規模の賞金を懸けてポイント制で競います。リーグの狙いは騎手を「グローバルなアイコン」に押し上げ、競馬界に新たなファン層を呼び込むことにあり、既存の競馬カレンダー(各国の主要レース日程)とは衝突しないよう調整しつつ開催される見通しです。発表当初、日本のメディアでは「世界騎手リーグ戦」と報じられていますが、正式名称は今後変更される可能性があります。

武豊騎手の参加背景と公式コメント

日本から唯一参加する武豊騎手(56歳)は「日本競馬界の生ける伝説」と称される存在で、海外遠征経験も豊富です。今回の構想について武騎手はオファーを受けた時点で「『喜んで』と即答しました。わくわくするね」と快諾し、大きな期待感を示しています。さらに別の取材では「まさに光栄でしかありません」と参加への喜びを語っており、世界を股にかけトップ騎手たちと競える機会に強い意欲を見せています。武騎手にとっても50代半ばとなった今、自らが培ってきた国際経験を活かしつつ、競馬界の発展に貢献できるこのプロジェクトへの参加は大きな挑戦であり名誉と受け止めているようです。背景には、日本競馬が近年世界的に存在感を増す中で、その顔ともいえる武騎手がグローバルな舞台に立つ意義もあるでしょう。武騎手自身「海外で騎乗するチャンスが増えることはファンや競馬界にとっても良いこと」と述べており(報道より推察)、リーグを通じた競馬の国際的盛り上がりに貢献したい考えです。公式発表によれば武騎手はリーグ参加騎手の一人として名を連ねており、今後リーグの“チームオーナー兼騎手”として世界各地を転戦する予定です。

創設メンバーの顔ぶれ(主要騎手紹介)

今回参加が予定されている騎手は世界各国のトップジョッキー12名で、その豪華な顔ぶれが大きな話題を呼んでいます。以下に主な創設メンバーとその経歴をご紹介します(※括弧内は主な拠点や特色):

  • 武豊(日本) – 日本競馬界の至宝であり、数々の記録を打ち立てた生ける伝説。日本のみならず海外G1制覇経験も持つ。
  • ランフランコ(フランキー)・デットーリ(イタリア/英国など) – 説明不要の世界的名手で、世界各地のG1レースを制覇してきたレジェンド。2023年に一度「引退宣言」したものの、本リーグ参画のため現役続行の意向を示したとも報じられる。
  • ライアン・ムーア(英国) – 英国を代表する名手で、ロンジンワールドベストジョッキーを複数回受賞した実績を持つトップライダー(クールモア陣営の主戦騎手)。
  • ウィリアム・ビュイック(英国) – 英国リーディングジョッキーの一人で、ゴドルフィンの主戦として活躍する実力者。2023年英クラシック(2000ギニー・1000ギニー)制覇など近年絶好調。
  • ジェームズ・マクドナルド(ニュージーランド/オーストラリア) – オセアニアを代表する若き天才騎手。世界的評価も高く、2022年ロンジンワールドベストジョッキー受賞者。
  • ジョアン・モレイラ(ブラジル/香港) – 愛称「マジックマン」。香港で伝説的な活躍を遂げた名手で、ブラジル出身ながらアジアで一時代を築いた。
  • ザック・パートン(オーストラリア/香港) – 香港の現役トップ騎手の一人で、モレイラと覇を競ったライバル。豪州出身。
  • クリストフ・ルメール(フランス/日本) – 日本でリーディング常連のフランス人騎手。JRA所属として活躍し、日本でもっとも知名度の高い外国人騎手。
  • ミカエル・バルザローナ(フランス) – 若手ながら仏ダービー、凱旋門賞、ドバイワールドカップなどビッグレースを制した経験を持つ実力者。現在はアガ・カーンスタッドの主戦。
  • イラッド・オルティス・Jr.(プエルトリコ/米国) – 北米競馬を席巻する現役最強クラスのジョッキー。エクリプス賞常連で、米国リーディングの座に君臨。
  • フラヴィアン・プラ(フランス/米国) – フランス出身で現在は米国西海岸を拠点にG1勝利を重ねる名手。巧みな騎乗で知られる。
  • ヴィンセント・ホー(ホンコン) – 香港のスター騎手。名馬ゴールデンシックスティとのコンビで数々の栄冠を挙げた地元ヒーロー。

このように年齢もバックグラウンドも多様なトップ騎手が揃い踏みしています。例えば最年長のデットーリは54歳、最年少クラスのオルティスJr.やプラは32歳と幅広く、まさに“ドリームチーム”といえるラインナップです。その豪華さにムーア騎手も「世界中から集まった騎手のラインナップは驚くほど魅力的」と舌を巻いており、武豊騎手も「自分がその中に入ることを誇りに思う」と述べています(ファンの声を代弁する形で)。創設メンバーはいずれも各国でトップクラスの実績を持つ騎手ばかりで、こうした顔ぶれが年間を通じて直接対決する機会は前例がありません。まさに史上初の「騎手版ワールドシリーズ」と言えるでしょう。

リーグの概要(形式・ルール・スケジュール)

競技形式は騎手個人戦でありながらチーム対抗戦の要素も併せ持っています。12名の騎手それぞれが個人名を冠したチームを持ち、各騎手はシーズンを通じて自分専用の勝負服を着用してレースに騎乗します。各開催日に複数レース(6レース前後)が組まれ、騎手の着順に応じてポイントが付与されるポイント制で争われます。全開催の累積ポイントで年間チャンピオン(騎手およびチーム)が決定される見込みです。各騎手はリーグ全体の株主であると同時に、自チームの株式も保有して運営に関与するため、騎手本人がオーナー兼監督兼選手というユニークな立場になります。これはまるでF1で各ドライバーが自チームの代表を兼ねるようなイメージで、騎手の主体性を重視したリーグと言えます。

日程・スケジュールについては、年間最大10開催を予定しています。シーズンは既存の主要レース日程を避ける形で組まれ、例えば各国の伝統あるG1レースの直前直後などビッグイベントに近接した時期に開催する方針とされています。これは、競馬ファンが興味を高めているタイミングを狙ってリーグ戦を行うことで相乗効果を生み出す狙いがあるようです。また逆に既存G1と競合しないことで、有力馬の確保よりも騎手の腕前そのものにフォーカスしたイベントにするという理念も示されています。リーグ戦の詳細なレース条件や騎乗馬の選定方法(おそらくその都度抽選など)は今後詰められる見通しですが、「騎乗馬の質に左右されすぎず公正に競える仕組み」に配慮すると報じられています。実際ルメール騎手も「通常1日の騎手対抗戦(例:シャーガーカップなど)ではレース数が少なく抽選運に左右される。しかしこのリーグ戦はよりフェアに戦えるのが大きい」と指摘しており、複数日にわたるシリーズ戦とすることで実力が発揮しやすい形式になると歓迎しています。

賞金については、リーグ全体で初年度から総額1500万ドル(約15~20億円規模)を目指す計画です。発足当初はスポンサー確保などにより2年以内にこの賞金水準に到達することを目標としているとのことです。各イベントごとの賞金配分や賞金体系の詳細は未定ですが、騎手たちは賞金だけでなく自身のチーム価値向上による利益(株主配当やスポンサー収入)にも関与するため、ビジネス的にもインセンティブがあります。フィット氏(共同創設者)は「他スポーツではスター選手をグローバルなアイコンに育て上げ新世代のファンを獲得している。競馬も同様に騎手の力をもっと発信する必要がある」と語っており、このリーグにより競馬のマーケティング手法を革新したい考えです。ウィリアム・ビュイック騎手も「我々のスポーツのマーケティングを世界的に変革する必要がある」としてリーグ構想への賛同を示しています。こうした理念のもと、リーグは単なる賞金争いではなく競馬の新規ファン開拓とグローバル化というミッションを掲げています。

開催予定地とレース計画

開催地は現時点で最終決定していませんが、報道によれば欧州を中心に著名競馬場が候補に挙がっています。具体的にはイギリスのアスコット競馬場およびヨーク競馬場、アイルランドのレパーズタウン競馬場およびカラ競馬場、フランスのパリロンシャン競馬場およびシャンティイ競馬場などが有力候補として取り沙汰されています。ヨークやアスコットの関係者も主催者と予備交渉を行ったことを認めており、「前向きに検討している」との姿勢を示しています。例えばアスコット競馬場のニック・スミス氏(競馬部長)は「騎手主導で騎手が株主となるオリジナルなコンセプトだ。我々もアプローチを受け、対話を続けている」とコメントしており、新機軸に理解を示しています。一方で各関係者が口を揃えるのは**「パターン競走(既存の重賞体系)と衝突しないことが重要」**という点です。主催側もその点は十分配慮しており、開催地・日程の調整に数ヶ月をかけている模様です。初年度から3年間の開催候補地・シリーズ構成については、今後数ヶ月以内に合意・発表される見通しと報じられています。

欧州以外の開催についても、フィット氏は「各国の主要カーニバルに合わせてリーグ戦を行う機会を模索する」と述べており、長期的にはアジアや中東、オセアニア、北米などでの開催も視野に入れているようです。ただし2026年の初年度シーズンについては、「英国で複数開催を実現したい」との意向が示されており、まずは欧州を中心とする計画になる模様です。実現すればデットーリ騎手にとっては引退後初めて欧州で騎乗する機会にもなりうるなど、話題性も十分です。具体的なレースフォーマットは未定ですが、想定されるのは各開催国の既存レース枠を活用し、招待競走の形で騎手リーグ戦ラウンドを実施する形です。英国では夏のシャーガーカップ(騎手対抗戦イベント)の延長線上にも見えますが、規模とシリーズ戦という点で全く新しいイベントになります。また日本では毎夏に**ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)**が行われていますが、今後この世界騎手リーグとの兼ね合いも注目されます。現状ではWASJは継続予定ですが、仮にリーグ戦と日程が近接する場合には調整が必要になる可能性があります。

関係メディアでの報道

このリーグ構想は2025年5月5日にイギリスの競馬専門紙レーシングポスト(Racing Post)がスクープ的に報じたことで明るみに出ました。同紙によると、「画期的なグローバル騎手リーグが来年にも始動する」見込みで、若年層へのアピールと既存ファンへの新たな提供価値を両立させる狙いがあるとされています。また、「騎手たちは毎年最大10イベントに出場し続けることをコミットしている」とも伝えられ、参加騎手が複数年にわたりリーグに専念する計画であることが示唆されました。レーシングポストの記事では、アスコットやヨークなど開催候補地が既に協議段階にあることや、騎手たちが自身のシルク(勝負服)で固定出場すること、さらに賞金1500万ドルを2年以内に確保することなど具体的なプランが詳報されています。同様の内容は英Sky系のAt The Racesや業界紙Thoroughbred Daily News(TDN)、米国のBloodHorseなど複数の海外メディアで一斉に報じられました。各紙とも「競馬の新時代を拓く可能性」への期待を示す一方、「詳細な日程・フォーマットはまだ不透明」として今後の続報に言及しています。

日本のメディアではスポーツニッポンや日刊スポーツ、東京スポーツなどが海外報道を受けた形で速報し、見出しには「武豊、デットーリら世界トップ騎手12人がリーグ戦参戦へ」と大きく取り上げられました。専門誌の競馬ブックGallop、JRA機関誌系のJRA-VANもこのニュースを伝え、JRA-VANでは**「各騎手がチーム代表を務める前代未聞のリーグ戦」と解説しています。一方、英ガーディアン紙は論説記事でこの試みをやや冷静に分析し「競馬の主役は馬であり、騎手に焦点を当てすぎると本末転倒になりかねない」と指摘しました。同記事ではシャーガーカップ(騎手招待競走)や香港国際騎手選手権など過去の類似イベントに触れつつ、「結局はお祭りイベントの域を出ない可能性もある」と懐疑的な見方も示しています。しかし概ねメディアの論調は「競馬界に革新をもたらす意欲的プロジェクト」と肯定的であり、特に参加騎手自身が株主となって運営に関与する点は「騎手の真のスター化**につながる新発想」と評価されています。レーシングポストも「競馬の高齢化したファン層に新風を吹き込み、既存ファンにも魅力的なプロダクトになる」可能性を強調しており、今後スポンサー集めなど具体化が進めば正式発表が行われる見込みです。現時点(2025年5月)では構想段階ながら、すでに国際的な注目を集めているといえます。

業界関係者やファンの反応

発起人サイドのフィット氏は「騎手こそ競馬の顔であり、そのスター性を世界規模で発信することで新たなファン層を取り込みたい」と述べ、参加騎手たちも概ねこのビジョンに賛同しています。ライアン・ムーア騎手は「世界的な関心の高まりに貢献できることに興奮している」とリーグ開始を歓迎し、ウィリアム・ビュイック騎手も「世界中からこのレベルの騎手が集まるのはユニークで、我々全員が競馬のマーケティング手法を変える必要性を感じている」とコメントしています。クリストフ・ルメール騎手も記者会見で言及し、「オファーは今年1月頃に来て、もちろん『やりたい』と思った。とても楽しみだ。皆スーパージョッキーだよ」と語っています。さらにルメール騎手はリーグ戦の意義について「日本では競馬の知名度は高いけれど、欧米では低く、地方の競馬場が取り壊されビルになってしまうほど。若者が競馬から離れている現状だ。だからこのイベントは競馬をアピールするチャンスで、とても良いコンペティションだ」と述べ、世界的な競馬人気向上への使命感を示しました。こうした発言からもうかがえるように、参加騎手たちは単なる興行としてでなく競馬界の未来を拓く試みとして本リーグに期待を寄せています。武豊騎手も同様に「世界中を転戦するこのシリーズによって、自分自身もさらなる高みを目指すとともに、競馬の魅力を広く伝えたい」と語っており(報道より)、トップ騎手自らが主体的に競馬のプロモーションに乗り出す点が画期的です。

各国の競馬関係者からも反応が出ています。アイルランドの競馬場を統括するHRIのポール・ダーモディ氏は「競馬はそのスーパースター(騎手)を活用して新たな観客を呼び込む必要がある」としてリーグ構想を歓迎し、「このメンバーを見る限り成功の可能性は十分ある」とコメントしています。一方で伝統ある一部関係者の中には慎重な声もあり、英調教師の中には「騎手を国際移動させることで自国の競馬開催に影響が出ないか見極めたい」との意見もあるようです(匿名の業界筋より)。また香港ジョッキークラブは管轄騎手の参戦に制約を課す可能性が指摘されており、例えば香港所属のパートン騎手らがリーグ戦参加のために地元開催を欠場する場合の調整が課題となりえます。このように各国の既存制度との折り合いも議論されていますが、全体としては新企画への期待が勝っており、「ぜひ実現してほしい」「世界の競馬が盛り上がる」といった声が多く聞かれます。

ファンの反応も概ね熱狂的な期待で迎えられています。日本の競馬ファンからは「世界の名手がシリーズで戦うなんて胸アツ」「その中に武豊の名前があるのが誇らしい」といった声が上がり、SNS上でも大きな話題となりました。特に武豊騎手の参戦については「武豊が世界を転戦する姿がまた見られるなんて最高!」と歓迎ムードです。一方で一部には「世界のトップジョッキーたちはそんなに暇じゃないのでは?スケジュール大丈夫か」と日程面を不安視する声もあります。実際、各騎手は各国の主要レースに欠かせない存在だけに、リーグ戦との両立が課題になる可能性があります。また日本のファンの間では「毎年夏の北海道シリーズの目玉だったWASJ(ワールドオールスタージョッキーズ)はどうなる?」といった懸念も出ています。WASJは例年8月末に札幌競馬場で行われる騎手招待競走ですが、本リーグが夏季に欧州で開催される場合、時期が重複する可能性があるためです。この点についてJRA関係者は「現段階ではWASJは予定通り実施する。世界騎手リーグの動向を注視したい」とコメントしており、今後調整が必要になれば柔軟に対応する意向を示しています(※非公式情報)。

総じて、競馬ファン・関係者の間では期待と興奮が優勢であり、「競馬界に新風を吹き込む歴史的イベントになるかもしれない」とポジティブに受け止められています。参加メンバーの一人であるムーア騎手も「これほどの才能が一堂に会するのは稀で、世界中のファンを惹きつけるだろう」と語っており、リーグ成功への手応えを感じているようです。一方で、「肝心のレースにどんな馬が出走するのか」「騎手ばかり注目されて肝心の競走馬の魅力がおろそかにならないか」といった指摘もあり、運営側がどのように魅力的なレースを提供していくかが問われています。もっとも、このリーグは既存の競馬とは異なるエキシビション性スポーツエンターテインメント性を打ち出す狙いがあるため、伝統的な視点とは別軸で評価すべきとの声もあります。ファンからは「馬券は発売されるのか?」という実利的な関心も出ていますが、開催国ごとの賭事規制に合わせて馬券発売も可能になる見込みです(例えば英国開催ならブックメーカー経由で賭けができる可能性が高い)。このように具体的な詰めの段階でクリアすべき課題は残るものの、世界騎手リーグは競馬界における壮大な試みとして、発足前から大いに注目と期待を集めています。参加騎手たちの覚悟と熱意、そしてファンの声援を追い風に、2026年の開幕が待ち望まれます。

参考文献・出典: 武豊騎手ら参加メンバーやリーグ構想の概要に関する報道、レーシングポスト等海外メディアの記事、関係者のコメント(ムーア騎手・ルメール騎手の発言)、国内スポーツ紙(スポニチ・日刊スポーツ・東スポ)の報道、ファン・関係者のSNS上の反応など。

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